【ハリネズミ】ハリネズミ飼いさんだけが知っている?WHSという致死性の病気②
2021.11.1 -[症状から考えるシリーズ]
風邪をひくと、片方の鼻からだけ鼻水が出ます。
頭痛も大抵片側。
この歳で何か重病かと、気になるくせに自分のことは知りたくない獣医師youです。
登場人物紹介
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;筆者です。動物のお医者さんやってます。割とポンコツです。
人間ドッグに行けと妻さんに言われています。
んーーーー、そうだねーーー…という会話を何回繰り返したことか。
一緒に行ってくれるなら行きます(我が家で一番大きな子ども)
;動物看護師長。おたアヒママ(おたまアヒルのママ)。言いにくい。
男は一生、少年である。そろそろこれをわかってほしい。
いえ、もちろん、仕事はやりますけれども。
;なんでなんで病真っ最中の3歳児。おたまと呼ばれる。
なんでパッパ子どもなのーなんでー
…うっさいわ 笑
;アヒル先生。新人2号。ようやく後頭部の毛が生えそろった1歳児。
ここ最近では、一番針で刺されている人。
赤ちゃんのワクチンって、とんでもない回数やるんですね。
:訳あって集まって来た動物たち。
:血液検査の機械の調子がおかしい→採血して試してみるか。
程度の理由で健康診断をしてもらえる。
多分、喜んではいない。
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人間ドッグって、すごいんですね。
MRIが入っているとか当たり前。なんの検査かもよくわからないものまでやってくれるみたいです。
そして金額も遠慮がなく、むしろ清々しいですね
あれだけ高い機械使っているから当然ですよね
それに時間もかかるんでしょう、きっと。
おやすみあんまりないのに…。
なんだかんだ理由をつけてはいますが、実際のところ採血やらなんやらで針を刺されるのが一番嫌だからゴネているのはここだけの秘密。
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ハリネズミさんに特有の不思議な病気、WHSについて解説しています。
今回も引き続き書いていこうと思います。
前回のお話
【ハリネズミ】ハリネズミ飼いさんだけが知っている?WHSという致死性の病気①
では、原因不明の徐々に悪くなっていくフラつく病気として紹介させていただきました。
今回は、もう少し掘り進めていこうかと思います。
○進行スピードと生存期間について
徐々に進行していくと言いましたが、どのくらいのスピードなのでしょうか。
ある文献では、発症してから9ヶ月以内に60%が、15ヶ月以内に90%が起立困難になると言っています。
もちろん、2〜3ヶ月以内に立てなくなってしまう場合もありますので要注意です。
生存期間に関しては、発症から18〜25ヶ月以内に死亡すると言われています。
1年半から2年を長いととるか、短いととるかは難しいところです。
2歳以下で発症することが多いということは、3〜4歳で亡くなってしまうということでもあるので、飼い主さんの気持ちが追いつかない…のです。
○診断はとても難しい
現在のところ確定診断を出すには、亡くなった後に剖検(遺体の検査)をする以外の方法はありません。
どうやら脳や脊髄の一部がおかしくなっているようだ…というのはわかっているのですが、これらは血液検査やレントゲンではわかりません。
ですので、ふらつきを起こす他の病気を見つるために検査を行います。
具体的には、骨折や関節炎、中耳炎・内耳炎、椎間板の病気、肝不全、腎不全などは全てふらつきを起こす可能性があり、レントゲンやCT・MRI検査、血液検査を行う必要があります。
ただし、これらの検査を行うには大抵、麻酔や鎮静が必要になってくるため診断は非常に難しい…ということになってしまうわけです。
○治療法は、無い
原因がわかっていない以上、完治を見込める治療法はありません。
ですので、ふらつきを起こす他の病気に対する治療をやって、良化するかどうかをみていきます。
ステロイドや抗菌薬、ビタミンB製剤、抗炎症薬、点滴など様々な治療を試してみますが、本当にWHSなら残念ながら効果はあまり感じられないことが多いです。
○本当に何もできることはないのか
そんなことはありません。
幸い、末期になるまでは食べ物を飲み込んだり、うんち・おしっこはできますので介護をすることでハリネズミさんの苦痛を和らげてあげることはできます。
ふやかしたハリネズミフードを、スプーンやシリンジを使って口元に持っていってあげたり、少量でも十分なカロリー摂取をするために、(犬猫用にはなりますが)高カロリーパウダーや缶詰を与えるということをやる必要があります。
もちろん、今まで以上にウンチやおしっこのお世話をやる必要もあります。
移動できないですし、おむつもつけることは出ないのでかぶれちゃったりしますので
発症率が比較的高く、救いようの無い病気と感じる方もいるのではないでしょうか。
研究が進めば…と言いたいところですが、剖検をすることも難しい(大事なご家族ですから)ので、研究もなかなか進みにくいのだと思われます。
あまり気分の良い終わりができず、申し訳ございません
また、来週
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“明日から使える生き物の不思議クイズ
”
Q;地上に巣を作るヒバリ。どうやって外敵からヒナを守るのでしょう
A:大きな声で鳴く
B:高いところから急降下して攻撃
C:敵をあざむく
A;
ヒバリの卵は10日ほどで孵るそうです。
さらに、10日ほどで巣立ってしまうという早熟ぶり。
とは言っても、合わせて20日ほどは敵から身を守らないといけません。
敵が近付いてくると、親鳥は怪我をしたふりをしてバタバタします。
敵の気を引けると、巣から段々遠くなる様に誘導して、十分離れたところでサヨウナラということをやります。
自分を囮にするなんて、よく考えていますね。
ということで答えはCの「敵をあざむく」でした
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〜番外編〜
「今日のうに子」
当院の看板ハリネズミ、うに子さん
基本何されてもあまり動じません。
しかし、この前、別の動物さんの匂いのするケージにたまたま入ってしまった時は
アンティング(涎を口の中で泡状にして体に塗りたくるハリネズミさんの行為のこと)をしていたそうで…
病院犬のおこげにクンクンされても
プシュプシュ怒るくらいなのに、
別の人の匂いは嫌だったのかな〜と
なんだか感情をあらわにした事に
感動してしまいました
因みに、アンティング行為を何故するのかは
よく分かっていないそうです
今週はここまで!
最後までお付き合い頂きありがとうございます
また来週