【イヌ】お腹の中が血まみれに?血管肉腫について②
2022.7.13 -[症状から考えるシリーズ]
炎天下の中、重い荷物を背負い、別の重い荷物を押しながら、上り坂を歩く休日。
もちろん、その後はしばらく動けない貧弱軟弱獣医師youです。
登場人物紹介
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:筆者です。妻さんがそれなりに出勤するようになった。
運動しないといけないですよね。
急な運動は体に悪いです。
:動物看護師長。おたアヒドグーのママ。
同じく体力はない。
が、なぜか夫ちゃんの運動不足に対してとても厳しい。
きっと、優しさなんですよね。
:おたま。相変わらずのプクプク4歳児。
:アヒル先生。赤ちゃんに興味はあるが、自分の方が大事な1歳半。
:ドグーさん。ミルクを飲んで(上からも下からも)出すだけの簡単なお仕事です。0歳児。
体力がないのは仕方ないが、疲れたからといってぐずらないでほしい。
ぐずり返したらどんな反応するか見てみたい。
:訳あって集まってきた動物たち。
:ほぼほぼ1日中寝ているツミレさんとウナギさん。
誰よりも機敏な動きができる。
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小さな子を連れて遊びに行けるところの条件。
・騒いでもOK
・トイレがいつでも近くにある
・帰り道に体力使い果たしていても、しんどくない(車で行ける)
これ、動物園とか最適なんですよね。
ただ、上り坂が多い動物園はしんどい。
1人抱っこして(重い荷物①)、バギーに1人+色々な荷物乗せて(重い荷物②)いるので何かのトレーニングと化します。
「おたまちゃんの方が早く登れるよ〜〜〜、ヨーイドン
」
という伏兵もいるので、どういうつもりで言っているのか小一時間問い詰めたい。
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血管肉腫という厄介な腫瘍について解説しています。
前回のお話では、
・転移しやすい
・かなり血が止まりにくい
のが大きな特徴ということでした。
この特徴が検査を難しくさせています。
確定診断を出さないと提案しにくい治療もあります。
○確定診断はどうやって出す
これ、何処かでお話ししたかもしれませんが、動物の場合、たった2つしか方法がありません。
・細胞診
腫瘍に針を刺して、細胞を採ってくる検査。
確定診断を出せないことがそれなりにありますが、麻酔をかけなくても行えることが多いです。
・病理検査
手術で腫瘍そのものを採取してくる検査。
これは、治療も兼ねた検査になります。
麻酔が必要です。
あまり体調が良いわけではないことが多いので、できれば細胞診で決着をつけたいところ。
しかし、針を刺したが最後、出血が止まらなくなることがあります。
(初期の小さな腫瘍なら針を刺しても良いかもしれませんが…)
出血のリスクを考えると、(脾臓にできた腫瘍は)手術で脾臓を取り出してしまうのが無難、という結論になってしまいます。
○手術をする前に、状況証拠を固めること
もちろん、初めから手術を提案するわけではありません。
・エコー検査で脾臓や心臓に腫瘍らしきものがある
・腹水(出血)がある
・心臓の周囲に液体が溜まっている
・貧血がある
などの、血管肉腫を疑わせる証拠を可能な限り集めてから手術を行うべきです。
○治療は、様々な角度から行う。
血管肉腫に関しては、腫瘍以外の治療も同時に行う必要があります。
多くの場合、
・血管肉腫
→外科手術や抗がん剤
・貧血
→輸血
・出血(播種性血管内凝固:DIC)
→輸血や抗凝固剤の投与など。
の治療を行います。
状況によっては、同時に行えない治療もあるので、獣医さんと相談の上で選択してください。
○ステロイドが有効な場合もある
体調や年齢、輸血ができない、出血が止まらない、など様々な状況で何も治療が選択できない場合があると思います。
そのような時には、一時的にステロイドが有効なこともあります。
抗炎症作用によって出血しにくくなったり、腫瘍自体による倦怠感や食欲低下の緩和ができる可能性があります。
*手術の後だったり、感染症を併発している場合には使いにくいお薬でもあるので注意は必要です。
○全力で治療を行っても予後は悪い(かもしれません)
ここまで書いておいて非常に言いにくいのですが、手術がうまくいったとしても、抗がん剤がとても効いたとしても、何年も生きていける場合は非常に稀です。
あるデータによれば、
・脾臓摘出のみの場合、平均して3ヶ月程度
・脾臓摘出+抗がん剤で平均6ヶ月程度
と言われています。
転移しやすく、転移先で出血することが多いので…難しいんですね。
獣医師にとっても扱いにくい病気です。
もし、血管肉腫になっても助かる可能性があるとすれば、超早期に腫瘍を発見して切除することでしょうか。
それは、定期的にエコー検査をしていないと難しいことでもありますが…
あまり楽しい話ではありませんでしたが、こんな怖い病気もあるということを知ってもらえると嬉しいです。
今回はここまで。
また来週
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“明日から使える生き物の不思議クイズ
”
Q;豚は太っている
A:太っている
B:痩せている
C:太っているわけではない
A;
なんだか選択肢がよくわからない感じになってしまいました。
では、太っているの定義を「脂肪がたくさんついている」ということにします。
たくさんってどれくらいなのかにもよりますので、体脂肪率で比べてみましょう。
豚の体脂肪率は品種にもよりますが、15%くらいと言われています。
ご自身の体脂肪率と比べていかがでしょうか。
男性20%、女性は30%を超えない方がいいとされています。
ここから考えると豚の15%はそんなに太っているようには思えません。
実は、結構筋肉質です。
体当たりされるとわかりますが、筋肉の塊です。
ということで、答えはCの「太っているわけではない」でした。
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〜番外編〜
「抱っこ紐のトラップ」
今週、東京は雨が続いていますね
湿気もズンッとのしかかって来て、節電節電と唱えながら、エアコンをどうしても点けてしまいます
室内でも熱中症になりますので、
ペットさん達も我々もくれぐれも気をつけて行きましょう
先日仕事の手続きのため、ドグーさんを連れて外出した際の話。
出掛けて程なくし、トイレに行きたくなった私
ただ、困ったことに抱っこ紐で装着されたドグーさんがいたためトイレに行けないことが判明
「普段あまりトイレ行かないし、我慢なんて容易だろう」とたかを括っていたのですが、
この時の私は、抱っこ紐の腰ベルトが丁度膀胱を締め付ける位置にあることを忘れていました…。
手続きの後半、尿意が脳内を占領していたので、もう何を言われていたのか記憶にありません
抱っこ紐をご使用のママさん、パパさん、
くれぐれもワンオペでお出かけの前はおトイレの
行き忘れにご注意ください
今週はここまで!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
また、来週も是非遊びに来てください